本書は、子どもに関わる臨床家が、いかにして精神分析的セラピストになっていくのかを論じたものである。中核となるのは、心理臨床学会における自主シンポジウム「子どもの精神分析的心理療法を学ぶ意義」の3年間(2017年~2019年)の記録である。
それぞれテーマがあり、2017年は「実践と訓練、そして情熱」、2018年は「出会いと変化、そしてやりがい」、2019年は「自分を生きることとセラピストになるということ」、本書では第1部、第2部、第3部に対応している。
日々の実践や訓練、対話を通して核心に迫っていくが、そこにはさまざまな葛藤や混乱がある。そうした子どもとのかかわりを通じて、セラピスト自身の「自分自身の内なる声」に耳を傾けることで、「自分が自分として生きていく」ことや「他者と共存して生きていく」ことへの問いに、何らかの手がかりを得ることができるだろう。