児童虐待が社会問題化するなかで,虐待の世代間伝達が言われて久しい。犠牲になる子どもが跡を絶たない今,その連鎖を断ち切るためにも,多くの人がアタッチメントの重要性を知る必要がある。本書はアタッチメント理論の背景からその骨格,研究の展開,臨床的応用を講義形式で述べるが,アタッチメント理論からの子育てについての助言をまとめた章も設けてある。研究者,臨床家,教育者,院生や学生ばかりでなく,子どもの育児に携わっている両親や保育者にもぜひ読んでいただきたい。また,すでに子育てを終えた方々が,アタッチメントの重要性を若いお母さんたちに上手に伝え、支援していくためにも役立つであろう。