セミナー案内

2020年度 こども・思春期精神分析セミナー
「現代の精神分析的アセスメント」

こども・思春期の精神分析は、現代においてもこども・家族の問題解決に最も欠かすことのできない臨床ツールです。その中でもこども・思春期のこころの状態、病理に対する見立てはとても重要です。精神分析的心理療法におけるこども・思春期の精神分析アセスメントにおいては、単に DSM などの操作的診断基準に基づいた発達障害などの診断名によるラベリングではなく心理、社会、生物学的様々な視点からの評価が必要とされます。心的世界のありさま、家族・社会、生物学的要因といった様々な視点から包括的な評価が行われます。アセスメントはとても難しい作業ですが、これに熟知しない限りこども・思春期の人たちと適切な治療関係や治療構造を築くことはできません。

 尚、本年度は、こども・思春期の他にも、成人のアセスメントについての回を 1 回設けました。本セミナーを通して、こども・思春期・成人という発達プロセスに応じたアセスメントの共通性と相違性について考える機会になるかもしれません。講師には、米国ホワイト研究所で訓練を受けて帰国された上智大学教授の吾妻壮先生をお招きいたします。また、英国タビストック研究所に留学し、ボウルビィに直接指導を受けた繁多進先生をお招きし、複雑な愛着研究を歴史的な流れを整理して、その展開を論じて頂きます。乳幼児臨床や母子臨床の経験豊富な二人の討論者との対話を通して、愛着についての理解を深めていきます。また、本年度も、当セミナーが日々の臨床活動で、多くの問題意識を感じている参加者の道標となることを期待しています。

主催:こども・思春期精神分析研究会 木部 則雄

◆日 程
2020年5月~2021年3月までの奇数月(全6回)第2日曜日 13時~16時45分
※受付開始は 12 時 50分からとなります。
◆形 式
前半は講義、後半は症例検討
◆会 場
TKP 市ヶ谷カンファレンスセンター 【※7 月のみアルカディア市ヶ谷】
◆対 象
こども・思春期を対象とした精神分析的セラピーに関心のある医師、心理臨床家、もしくは現在専門的にそれらを学んでいる大学院生等の学生
◆定 員
80名(先着順)
◆参加費
40,000円
◆申込期限
2020年2月28日

※本セミナーは,臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。
※午前(9 時半~12 時)に「グループ・スーパーヴィジョン」(定員 12 名)も行っています。

*スーパーヴァイザー:木部則雄・吉沢伸一
*場所:こども思春期メンタルクリニック(セミナー会場近く)

 

年間テーマ:精神分析的アセスメント (敬称略)

日程講師司会事例提示/指定討論
第1回5月10日木部 則雄脇谷 順子事例提示:木部 則雄
第2回7月12日吾妻 壮木部 則雄事例提示:吉沢 伸一
第3回9月13日繁田 進木部 則雄指定討論:井口 由子・村田 朱美
第4回11月8日飛谷 渉木部 則雄事例提示:中西 美紀
第5回1月10日平井 正三木部 則雄事例提示:中島 良二
第6回3月14日鈴木 龍木部 則雄事例提示:木下 直紀

講 師(五十音順、敬称略)

吾妻  壮 (上智大学総合人間学部心理学科)
木部 則雄 (白百合女子大学文学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
鈴木  龍 (鈴木龍分析オフィス)
飛谷  渉 (大阪教育大学保健センター)
繁多  進 (白百合女子大学名誉教授)
平井 正三 (御池心理療法センター/認定 NPO 法人子どもの心理療法支援会)
脇谷 順子 (杏林大学保健学部/認定 NPO 法人子どもの心理療法支援会)

事例発表者(五十音順、敬称略)

井口 由子 (こども・思春期メンタルクリニック)
木下 直紀 (聖マリアンナ医科大学病院)
中島 良二 (調布学園)
中西 美紀 (こもれび診療所)
村田 朱美 (日本赤十字社医療センター小児科)
吉沢 伸一 (ファミリーメン タルクリニックまつたに)

参考図書

第1回
▷ 木部則雄著「こころの発達と精神分析-現代藝術・社会を読み解く」(岩崎学術出版社)

▷ 木部則雄編著「精神分析/精神科・小児科臨床セミナー 総論:精神分析的アセスメントとプロセス」(福村出版)

▷ 木部則雄著「こどもの精神分析Ⅰ・Ⅱ」(岩崎学術出版社)

▷ マーガレット・ラスティン他編、木部則雄監訳「こどものこころのアセスメント―乳幼児から思春期の精神分析アプローチ」(岩崎学術出版社)

第2回
▷ 吾妻壮著「精神分析の諸相-多様性の臨床に向かって」(金剛出版)

▷ 吾妻壮著「精神分析的アプローチの理解と実践―アセスメントから介入の技術まで」(岩崎学術出版社)

▷ 吾妻壮著「精神分析における関係性理論: その源流と展開」(誠信書房)

▷ 岡野憲一郎・吾妻壮・富樫公一・横井公一著「関係精神分析入門―治療体験のリアリティを求めて」(岩崎学術出版社)

第3回
▷ 繁多進著・木部則雄監修「基礎講義アタッチメント―子どもとかかわるすべての人のために」(岩崎学術出版社)

▷ 繁多進監修「新 乳幼児発達心理学―もっと子どもがわかる好きになる」(福村出版)

▷ 繁多進編著「子育て支援に活きる心理学―実践のための基礎知識」(新曜社)

▷ 繁多進箸「愛着の発達―母と子の心の結びつき」(第日本図書)

第4回
▷ 大阪精神分析セミナー運営委員会編、飛谷渉他著「連続講義 精神分析家の生涯と理論」(岩崎学術出版社)

▷ 飛谷渉著「精神分析たとえ話: タヴィストック・メモワール」(誠信書房)

▷ ミーラ・リカーマン著、飛谷渉訳、「新釈メラニークライン」(岩崎学術出版社)

▷ ドナルド・メルツァー著、松木邦裕監訳/飛谷渉訳「精神分析過程」(金剛出版)

第5回
▷ 平井正三・西村理晃編集「児童養護施設の子どもへの精神分析的心理療法」(誠信書房)

▷ ケイト・バロウズ編著、平井正三・世良洋監訳「自閉症スペクトラムの臨床―大人と子どもへの精神分析的アプローチ」(岩崎学術出版社)

▷ 平井正三著「新訂増補 子どもの精神分析的心理療法の経験―タビストック・クリニックの訓練」(金剛出版)

▷ 平井正三著「精神分析的心理療法と象徴化―コンテインメントをめぐる臨床思考」(岩崎学術出版社)

第6回
▷ 木部則雄・鈴木龍・脇谷順子監訳「乳幼児観察入門: 早期母子関係の世界」(創元社)

▷ 鈴木龍・上田順一編「子育て、保育、心のケアにいきる赤ちゃん観察」(金剛出版)

▷ 北山修監修・高野晶編著「週一回サイコセラピー序説: 精神分析からの贈り物」(創元社)

▷ ロビン・アンダーソン、アンナ・ダーティントン編、鈴木龍監訳「思春期を生きぬく」(岩崎学術出版社)