セミナー案内

2022年度 こども・思春期精神分析セミナー
「現代のこども・思春期のこころの世界」

 

 こころの世界は社会と同じように変化しているため、私たち臨床家はその変化とその背景にあるものを捉え続けていく必要がある。この半世紀でも、不登校、ひきこもり、新型鬱病、虐待・DV、発達障害など新たなテーマが社会的問題として浮上してきている。現代人のメンタリティも時代の流れに沿って刻々と変化し、精神症状にも変化が生じている。例えば、統合失調症の軽症化、ボーダーライン・パーソナリティ障害の減少をはじめ、解離や離人の多様化と複雑化、鬱状態の変質、自閉スペクトラム心性の広がりなどの変化により、私たち臨床家は多様な臨床像の理解と関り方をめぐり再検討する必要性がでてきた。

 このように社会とこころは連動しているが、今の時代は、以前と比べ、価値観の多様化、新しい秩序の生成、境界線の喪失などの諸要素により、一様には定義し難い。それゆえに、現代社会をどのように捉え、そこに生きる人間、とりわけ次に社会を担っていくこども・思春期の者たちのこころの世界を理解し考え続ける姿勢が求められているのではないだろうか。

 今年度は、精神病理の第一人者である精神科医の内海健先生と、医療人類学の視点を持ち心理療法を実践し近年こころについて重要な問題提起をしている臨床心理士の東畑開人先生のお二人をお招きしています。 本セミナーは、ポスト・クライン派精神分析の視点を中核に起きつつ、それに加え、時代の流れの中で重要となりつつある視点も盛り込み、共に学び合う場を作りたいと考えています。

 昨年度に引き続き、今年度も会場参加とZoom参加のハイブリット開催をいたします。これまで参加できなかった関東以外の臨床家の方々のご参加も歓迎いたします。

主催:こども・思春期精神分析研究会 木部 則雄

◆日 程
2022年5月~2023年3月までの奇数月(全6回)第2日曜日 13時~16時45分
※受付開始は 12 時 50分からとなります。
◆形 式
前半は講義、後半は症例検討
◆会 場
TKP 市ヶ谷カンファレンスセンター
◆対 象
こども・思春期を対象とした精神分析的セラピーに関心のある医師、心理臨床家、もしくは現在専門的にそれらを学んでいる大学院生等の学生
◆定 員
会場・Zoom各50名(先着順) 
※「会場参加」を希望された方は、各回ごとに会場参加かZoom参加を選んで頂くことが可能です。
◆参加費
44,000円(消費税を含む)
◆申込期限
2022年3月31日 本セミナーのお申し込みの受付は終了いたしました。

※本セミナーは、臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。


◆グループ・スーパーヴィジョン ※グループ・スーパーヴィジョンはオンラインでは行いません。
ご好評につき、グループ・スーパーヴィジョンは定員に達しましたので申し込みを締め切りました。
セミナー開催日の午前中(9時30分〜12時)にグループ・スーパーヴィジョン(定員12名)を行っています。
*参加資格:午後に行われる「子ども・思春期精神分析セミナー」の参加者
 事例を提示でき、こどもの精神分析的心理療法の技術を身につけたい方
 ※提示するケースは精神分析的心理療法を実践したケースでなくても構いません。
*スーパーヴァイザー:
 木部則雄(白百合女子大学人間総合学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
 吉沢伸一(ファミリーメンタルクリニックまつたに)
*場所: こども・思春期メンタルクリニック(セミナー会場近く)
*参加費: 33,000円(消費税を含む)

お申し込みの際に「お問い合わせ」欄に参加希望の旨をご記入ください。
※午前のグループ・スーパーヴィジョンに参加を希望され、午後はZOOMでの参加を希望される場合は、間の時間が1時間しかありませんのでご注意ください。

年間テーマ:現代のこども・思春期のこころの世界 (敬称略)

日程講師司会事例提示
第1回5月8日木部 則雄脇谷 順子村田 朱美
第2回7月10日内海  健木部 則雄※講義のみ
第3回9月11日東畑 開人木部 則雄坂元 龍太
第4回11月13日飛谷  渉木部 則雄田中 志帆
第5回1月8日平井 正三木部 則雄笹村 明杜
第6回3月12日鈴木  龍木部 則雄阿久津章乃

 

講 師 (五十音順、敬称略)

内海  健 (東京藝術大学保健管理センター)
木部 則雄 (白百合女子大学人間総合学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
鈴木  龍 (鈴木龍分析オフィス)
東畑 開人 (白金高輪カウンセリングルーム)
飛谷  渉 (大阪教育大学保健センター)
平井 正三 (御池心理療法センター/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)
脇谷 順子 (杏林大学保健学部臨床心理学科/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)

事 例 発 表 者 (五十音順、敬称略)

阿久津章乃 (ファミリーメンタルクリニックまつたに)
坂元 龍太 (あざみ野心理オフィス)
笹村 明杜 (ながしまメンタルクリニック)
田中 志帆 (文教大学人間科学部臨床心理学科/浦和さくら草通り心理オフィス)
村田 朱美 (日本赤十字社医療センター小児科)

参考図書

第1回
▷ 「こころの発達と精神分析-現代藝術・社会を読み解く」(2019)木部則雄著,岩崎学術出版社.

▷ 「精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論:精神分析的アセスメントとプロセス」(2019)木部則雄編著,福村出版.

▷ 「こどもの精神分析Ⅰ・Ⅱ」(2007・2012)木部則雄著,岩崎学術出版社.

▷ 「こどものこころのアセスメント―乳幼児から思春期の精神分析アプローチ」(2007)マーガレット・ラスティン他編,木部則雄監訳,岩崎学術出版社.

第2回
▷ 「気分障害のハード・コア―「うつ」と「マニー」のゆくえ」(2020)内海健著,金剛出版.

▷  「金閣を焼かなければならぬ」(2020)内海健著,河出書房新社.

▷ 「自閉症スペクトラムの精神病理: 星をつぐ人たちのために」(2015)内海健著,医学書院.

▷ 「さまよえる自己―ポストモダンの精神病理」(2012)内海健著,筑摩書房.

第3回
▷ 「心はどこへ消えた?」(2021)東畑開人著,文藝春秋.

▷ 「居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)」(2019)東畑開人著,医学書院.

▷ 「日本のありふれた心理療法: ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学」(2017)東畑開人著,誠信書房.

▷ 「野の医者は笑う: 心の治療とは何か?」(2015)東畑開人著,誠信書房.

第4回
▷ 「連続講義 精神分析家の生涯と理論」(2018)大阪精神分析セミナー運営委員会編,飛谷渉他著,岩崎学術出版社.

▷ 「精神分析たとえ話: タヴィストック・メモワール」(2016)飛谷渉著,誠信書房.

▷ 「新釈メラニークライン」(2014)ミーラ・リカーマン著,飛谷渉訳,岩崎学術出版社.

▷ 「精神分析過程」(2010)ドナルド・メルツァー著,松木邦裕監訳/飛谷渉訳,金剛出版.

第5回
▷ 「意識性の臨床科学としての精神分析―ポスト・クライン派の視座」(2020)平井正三著,金剛出版.

▷ 「児童養護施設の子どもへの精神分析的心理療法」(2018)平井正三・西村理晃編集,誠信書房.

▷ 「自閉症スペクトラムの臨床―大人と子どもへの精神分析的アプローチ」(2016)ケイト・バロウズ編著,平井正三・世良洋監訳,岩崎学術出版社.

▷ 「新訂増補 子どもの精神分析的心理療法の経験―タビストック・クリニックの訓練」(2015)平井正三著,金剛出版.

第6回
▷ 木部則雄・鈴木龍・脇谷順子監訳「乳幼児観察入門: 早期母子関係の世界」(創元社)「乳幼児観察入門: 早期母子関係の世界」(2019)木部則雄・鈴木龍・脇谷順子監訳,創元社.

▷ 「子育て、保育、心のケアにいきる赤ちゃん観察」(2019)鈴木龍・上田順一編, 金剛出版.

▷ 「週一回サイコセラピー序説: 精神分析からの贈り物」(2017)北山修監修・高野晶編著,創元社.

▷ 「思春期を生きぬく」(2000)ロビン・アンダーソン,アンナ・ダーティントン編,鈴木龍監訳,岩崎学術出版社.

本セミナーのお申し込みの受付は終了いたしました。多数のお申し込み誠にありがとうございました。