2021年度より,『精神分析臨床セミナー:基礎理論を学ぶ』(Ⅰ‐ⅰ)を開講しましたが,本年度は,その継続講義の3年目です。本セミナーは3年間で精神分析の基礎理論,その技法を概観することを目的としています。ただし,本年度からの参加者にも十分に配慮した講義を行う予定です。
本年度は,初年度,2年目で学んだフロイト,クライン,アンナ・フロイトなどの精神分析の理論から,臨床実践への応用を講じます。精神分析の理論と臨床実践は弁証法的な関係にあり,このパラダイムを理解することが重要です。講師の皆さんは,臨床実践の専門家ですので,参加者が理解できるようにその生き生きとした臨床実践をお伝えできる陣容です。1回目は精神分析の設定に関して論じます。精神分析はこの設定があって初めて意味あるものになり,これが他の心理療法とは異なる精神分析の骨格となります。2回目はアセスメントについて論じます。精神分析のアセスメントは極めて重要な作業であり,これは経験と熟練を要しますが,必ず身につけるべき事柄です。3回目は精神分析の基本的概念と臨床実践を結びつけます。ここでは,転移,エディプス,早期エディプスについて学びます。4回目は精神分析技法として,解釈,逆転移,実演といった臨床実践に直結する技法に関して学びます。5回目は精神分析の醍醐味でもあるパーソナリティ障害に関する臨床実践です。最終回は終結のワークと21世紀の精神分析として精神分析の今後の展開についての講義を付置しました。なお,本年度は『Introduction to the Practice of Psychoanalytic Psychotherapy』(Alessandra Lemma . Wiley-Blackwell)を参考図書としますが,これは近日中に翻訳予定です。
昨年度から継続の参加者だけでなく,本年度からの参加も可能です。是非とも,3年間で精神分析の理論を総括的に理解して頂くことを目的としていますので,多くの聴衆を期待しています。
会場はTKP市ヶ谷ですが,Zoomのみでも参加可能です。Zoomでのご参加でも,その講義の臨場感をお伝えできるように尽力していますので,ご安心ください。
共催:こども・思春期精神分析研究会/こども・思春期メンタルクリニック 木部則雄
※本セミナーは、臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。また、日本精神分析学会の認定研修グループに認定されています。
日程 | 講義1(10時〜12時) | 講義2(13時〜15時) | 講義3(15時15分〜17時15分) |
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第1回 4月9日 | 精神分析学派の理論と実践 講師:福本 修 | 精神分析設定と態度① 講師:福本 修 | 精神分析設定と態度② 講師:木部則雄 |
第2回 6月18日 | アセスメント① 講師:木部則雄 | アセスメント② 講師:岩倉 拓 | アセスメントと定式化 講師:福本 修 |
第3回 8月13日 | 精神分析過程①:転移と抵抗 講師:平島奈津子 | 精神分析過程②:エディプス 講師:岡田暁宜 | 精神分析過程③:早期対象関係 講師:福本 修 |
第4回 10月1日 | 精神分析技法①:解釈 講師:田中健夫 | 精神分析技法②:逆転移 講師:田中健夫 | 精神分析技法③:実演 講師:生地 新 |
第5回 12月17日 | 病理的組織化 講師:皆川英明 | 無意識的空想 講師:皆川英明 | 心的変化の過程 講師:福本 修 |
第6回 2月11日 | 21世紀の精神分析 講師:福本 修 | 終結でのワーク 講師:木部則雄 | 終結でのワーク② 講師:髙野 晶 |
生地 新 (まめの木クリニック/北里大学名誉教授)
▷ 資格:精神科指定医、精神科専門医、臨床心理士、公認心理師
▷ 経歴:1986年山形大学大学院医学研究科修了。1990年山形大学附属病院講師、2001年日本女子大学人間社会学部助教授、2007年北里大学大学院医療系研究科教授。2022年よりまめの木クリニック院長、北里大学名誉教授。
▷ 主な著書・論文:『児童福祉施設の心理ケア―力動精神医学からみた子どもの心』(岩崎学術出版)、『週一回サイコセラピー序説: 精神分析からの贈り物』(分担執筆)(創元社)、『児童青年精神医学大事典』(ウィーナー・ダルカン著:齋藤万比古・生地新監訳)(西村書店)、『子どもの心を知るための手立てとしての精神分析-児童精神科医と精神分析的セラピストの狭間にいる立場から-』(精神分析研究)、『子どもの精神療法-精神分析の立場から-』(児童青年精神医学とその近接領域)など
岩倉 拓 (あざみ野心理オフィス主宰/聖マリアンナ医科大学非常勤講師)
▷ 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士
▷ 経歴:横浜国立大大学院教育学研究科修士課程修了。電話相談員、精神神経科クリニック、スクールカウンセラー、大学病院心理士、保健所・乳児院コンサルタント等を経て、2007年にあざみ野心理オフィスを開設。
▷ 主な著書・論文:『日常臨床に活かす精神分析2:現場で活かす精神分析』(精神分析の観点から見た被災地での連携:誠信書房)、『パーソナリティ障害の精神分析的アプローチ』(分担執筆、金剛出版)、『心理臨床家の成長』(分担執筆、金剛出版)、『事例で学ぶアセスメントとマネジメント―こころを考える臨床実践―』(分担執筆、岩崎学術出版)、『その心理臨床、大丈夫? 心理臨床実践のポイント』(分担執筆、日本評論社)など
岡田 暁宜 (慶應義塾大学環境情報学部教授)
▷ 資格:精神科専門医、臨床心理士、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー
▷ 経歴:名古屋市立大学大学院医学研究科修了。2021年4月から現職。
▷ 主な著書・論文:『精神分析と文化-臨床的視座の展開』(編著、岩崎学術出版社)
木部 則雄 (白百合女子大学総合人間学部教授/こども・思春期メンタルクリニック)
▷ 資格:精神科指定医、精神科専門医、臨床心理士
▷ 経歴:京都府立医科大学卒業。聖路加国際病院小児科、三枚橋病院の勤務後にタヴィストッククリニック児童家庭部門に留学。帰国後、NTT東日本健康管理センター勤務後に、2001年白百合女子大学発達心理学専攻、2014年こども・思春期メンタルクリニックの開設に至る。
▷ 主な著書・論文:『こどもの精神分析‐クライン派・対象関係論からのアプローチ-』(岩崎学術出版社)、『こどもの精神分析Ⅱ‐クライン派による現代のこどもへのアプローチ-』(岩崎学術出版社)、『こころの発達と精神分析‐現代藝術・社会を読み解く-』(金剛出版)、『基礎講義 アタッチメント』(企画・監修、岩崎学術出版社)、『クラインとウィニコット-臨床パラダイムの比較と対話‐』(監訳、岩崎学術出版社)など
髙野 晶 (北参道こころの診療所)
▷ 資格:精神科専門医、臨床心理士、日本精神分析学会認定精神分析的精神療法医・スーパーバイザー、日本精神分析協会精神分析的精神療法家
▷ 経歴:京都府立医科大学卒業。東京大学附属病院心療内科、公立昭和病院心療内科、東京国際大学人間社会学部・大学院臨床心理学科教授、心の杜・新宿クリニックを経て現職。
▷ おもな著書・論文:『精神療法の饗宴』(共著、誠信書房)、『精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論』(共著、福村出版)、『週1回サイコセラピー序説-精神分析からの贈り物』(編著、創元社)、『精神分析から見た成人の自閉スペクトラム』(共著、誠信書房)など
田中 健夫 (東京女子大学現代教養学部教授/中野臨床心理研究室)
▷ 資格:臨床心理士、精神分析学会認定心理療法士・スーパーバイザー
▷ 経歴:東北大学文学部卒業後、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退。九州大学学生生活・修学相談室、山梨英和大学を経て現職。1999年から1年間、タヴィストック・クリニック思春期・青年期部門にプログラム・アソシエイトとして留学。
▷ 主な著書・論文:『精神分析とユング心理学』(共著、放送大学教育振興会)、『心理職としての援助要請の視点』(分担執筆、金子書房)、『子育て、保育、心のケアにいきる赤ちゃん観察』(分担執筆、金剛出版)、『トラウマを理解する:対象関係論に基づく臨床アプローチ』(共訳、岩崎学術出版社)、『乳幼児観察入門:早期母子関係の世界』(共訳、創元社)など
平島 奈津子 (国際医療福祉大学三田病院精神科/同大学赤坂心理・医療福祉マネジメント学部教授)
▷ 資格:精神保健指定医、公認心理師、医学博士、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー、日本サイコオンコロジー学会認定登録精神腫瘍医、日本女性心身医学会認定医
▷ 経歴:東京医科大学卒業。慶應義塾大学精神・神経科学教室で初期研修を受け、同教室助手、桜町病院精神・神経科医長、昭和大学医学部精神医学教室助(准)教授を経て、2013年から国際医療福祉大学三田病院精神科病院教授。2020年から現職。
▷ 主な著書・論文:『不安のありか~‘私’を理解するための精神分析のエッセンス』(日本評論社)、『四天王寺カウンセリング講座10』(分担執筆、創元社)、『治療者のための女性のうつ病ガイドブック』(編集・分担執筆、金剛出版)、『精神分析入門』(分担執筆、放送大学教育振興会)、『女性のうつ病がわかる本』(編集・分担執筆、法研)など
福本 修 (代官山心理・分析オフィス)
▷ 資格:精神科専門医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー、国際精神分析協会正会員・日本精神分析協会訓練分析家
▷ 経歴:東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部付属病院分院、静岡大学保健管理センター助教授を経て、タヴィストック・クリニック留学、同成人精神分析的精神療法課程修了。2000年から恵泉女学園大学人文学部教授。2017年より同大学人文科学部名誉教授。
▷ 主な著書・論文:『精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論』(共著、福村出版)、『連続講義 精神分析家の生涯と理論』(共著、岩崎学術出版社)、『精神分析の現場へ──フロイト・クライン・ビオンにおける対象と自己の経験』(誠信書房)、『現代クライン派精神分析の臨床──その基礎と展開の探究』(金剛出版)、『現代フロイト読本』(共著、みすず書房)、『精神分析的心理療法におけるコンサルテーション面接』(監訳、金剛出版)、『クライン派用語事典』(監訳、誠信書房)、『フロイトを読む──年代順に紐解くフロイト著作』(監訳、岩崎学術出版社)、『現代クライン派入門―基本概念の臨床的理解』(共監訳、岩崎学術出版社)、『現代クライン派の展開』(誠信書房)、『クリニカル・クライン』(共訳、誠信書房)など
皆川 英明 (紙屋町こころのクリニック/広島市精神保健福祉センター/広島大学医学部臨床教授)
▷ 資格:精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、国際精神分析協会正会員、日本精神分析学会認定スーパーバイザー、産業医
▷ 経歴:広島大学医学部卒業後、広島大学大学院修了。広島大学病院、国立病院機構呉医療センターの勤務後に、タヴィストック・クリニック成人部門に留学。帰国後、草津病院を経て、2014年〜2022年11月まで広島市精神保健福祉センター所長。2022年12月から紙屋町こころのクリニック院長。
▷ 主な著書・論文:『「夢を報告すること」の機能について-病理的対象関係の再演に関する一考察-』(精神分析研究)、『パーソナリティ障害と夢–夢の報告と喪の試みとしての舞台化−』(精神分析研究)、『現在と過去–羨望に満ちた病理的対象関係の再演とその解釈をめぐって−』(精神分析研究)、『クライン派用語事典』(分担翻訳、誠信書房)など
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