セミナー案内

2024年度 こども・思春期精神分析セミナー
「これからの精神分析」

 精神分析は20世紀の叡智を集成した人の「こころ」に関する実績と理論です。「こころ」は、時代や社会の変化とともに一見大きく変化したように見えます。例えば、フロイトが精神分析理論を構築していった時代や、昭和のような社会・文化的な価値観がある程度共有されていた時代では、いわゆる「抑圧」が多くの人々に馴染みのある防衛(適応)機制でした。しかし、昨今では、これまでの文化や価値観が相対化され価値観が多様化し、さらにそれは流動的で刹那的なものになってきています。人々の欲求を刺激し即座に満たす文化風土や消費社会はSNSの発展とともに増長されてきています。このような状況では、抑圧は薄れ、こころのまとまりがより断片化する投影同一化の機制が優勢となります。

 しかし、このような変化がありつつも、蓄積されてきた精神分析の叡智を踏まえれば「こころ」の本質は変わっていません。本セミナーでは、社会・時代の変遷にともない、変わりゆく「こころ」と変わらざる「こころ」について議論していきます。昨今興隆してきた認知行動療法においても、基本的に精神分析を起点として、それを応用し発展してきています。精神分析の学びはこれからの時代も、技法の変化はあるものの、人の「こころ」の理解に大きく寄与していくことになるでしょう。2024年度は、ポスト・クライン派の理解に加え、ユング派の河合俊雄先生、ラカン派の立木康介先生、医療人類学の視座から臨床心理学を再考している東畑開人先生をお迎えし、多様な観点から議論を行います。

 今回も、会場参加とZoom参加のハイブリット開催をいたします。これまで参加できなかった関東以外の臨床家の方々のご参加も歓迎いたします。

主催:こども・思春期精神分析研究会 木部 則雄

◆日 程
2024年5月~2025年3月までの奇数月(全6回)第2日曜日 13時~16時45分
※第4回のみ第3日曜日。昨年は第4日曜でしたのでご注意ください。
※受付開始は 12 時 50分からとなります。
◆形 式
前半は講義、後半は症例検討
◆会 場
TKP 市ヶ谷カンファレンスセンター
バンケットホール8階(※5/12は9階、7/14は3階)
◆対 象
こども・思春期を対象とした精神分析的セラピーに関心のある医師、心理臨床家もしくは現在専門的にそれらを学んでいる大学院生等の学生
◆定 員
会場・Zoom各50名(先着順) 
※「会場参加」を希望された方は、各回ごとに会場参加かZoom参加を選んで頂くことが可能です。
◆参加費
44,000円(消費税を含む)
◆申込期限
2024年3月31日 本セミナーのお申込みの受付は終了いたしました。

本セミナーは、臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。
※セミナーに4回以上参加された参加者に修了証明書を発行いたします。


◆グループ・スーパーヴィジョン ※グループ・スーパーヴィジョンはオンラインでは行いません。
セミナー開催日の午前中(9時30分〜12時)にグループ・スーパーヴィジョン(定員12名)を行っています。
*参加資格:午後に行われる「子ども・思春期精神分析セミナー」の参加者
 事例を提示でき、こどもの精神分析的心理療法の技術を身につけたい方
 ※提示するケースは精神分析的心理療法を実践したケースでなくても構いません。
*スーパーヴァイザー:
 木部則雄(白百合女子大学人間総合学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
 吉沢伸一(ファミリーメンタルクリニックまつたに)
*場所: こども・思春期メンタルクリニック(セミナー会場近く)
*参加費: 33,000円(消費税を含む)

お申し込みの際に「お問い合わせ」欄に参加希望の旨をご記入ください。
※午前のグループ・スーパーヴィジョンに参加を希望され、午後はZOOMでの参加を希望される場合は、間の時間が1時間しかありませんのでご注意ください。

年間テーマ:これからの精神分析 (敬称略)

日程講師司会事例提示
第1回5月12日木部 則雄吉沢 伸一榊原みゆき
第2回7月14日河合 俊雄木部 則雄伊藤 和也
第3回9月8日飛谷  渉木部 則雄中村 知佳
第4回11月17日東畑 開人木部 則雄菅田 雄介
第5回1月12日立木 康介木部 則雄堀川 聡司
第6回3月9日平井 正三木部 則雄佐治 祥先

 

講 師 (五十音順、敬称略)

河合 俊雄 (京都こころ研究所)
木部 則雄 (白百合女子大学人間総合学部発達心理学科/こども・思春期メンタルクリニック)
立木 康介 (京都大学人文科学研究所)
東畑 開人 (白金高輪カウンセリングルーム)
飛谷  渉 (大阪教育大学保健センター)
平井 正三 (御池心理療法センター/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)

事 例 発 表 者 (五十音順、敬称略)

伊藤 和也 (みとカウンセリングルームどんぐり)
榊原みゆき (こども・思春期メンタルクリニック)
佐治 祥先 (こども・思春期メンタルクリニック)
菅田 雄介 (大船こころの相談室)
中村 知佳 (聖マリアンナ医科大学病院)
堀川 聡司 (こども・思春期メンタルクリニック)

参考図書

第1回
▷ 「青年期のデプレッションへの短期精神分析療法―CBTとの比較実証研究と実践マニュアル」(2022)木部則雄監訳,岩崎学術出版社.
▷ 「こころの発達と精神分析-現代藝術・社会を読み解く」(2019)木部則雄著,金剛出版.
▷ 「精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論:精神分析的アセスメントとプロセス」(2019)木部則雄編,福村出版.
▷ 「こどもの精神分析Ⅰ・Ⅱ」(2007・2012)木部則雄著,岩崎学術出版社.

第2回
▷ 「夢とこころの古層」(2023)河合俊雄著,創元社.
▷ 「ジオサイコロジー」(2022)中沢新一・河合俊雄著,創元社.
▷ 「心理療法家がみた日本のこころ:いま、こころの古層を探る」(2020)河合俊雄著,ミネルヴァ書房.
▷ 「ユング派心理療法」(2013)河合俊雄編著,ミネルヴァ書房.

第3回
▷ 「エディプス・マターズ―現代クライン派臨床理論から考える心のインフラ」飛谷渉,In,「思想」2021年8月号.
▷ 「連続講義 精神分析家の生涯と理論」(2018)大阪精神分析セミナー運営委員会編,岩崎学術出版社.
▷ 「精神分析たとえ話:タヴィストック・メモワール」(2016)飛谷渉著,誠信書房.
▷ 「新釈メラニークライン」(2014)ミーラ・リカーマン著,飛谷渉訳,岩崎学術出版社.

第4回
▷ 「臨床のフリコラージュ: 心の支援の現在地」(2023)斎藤環・東畑開人著,青土社.
▷ 「ふつうの相談」(2023)東畑開人著,金剛出版.
▷ 「聞く技術 聞いてもらう技術」(2022)東畑開人著,ちくま新書.
▷ 「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(2022)東畑開人著,新潮社.

第5回
▷ 「女は不死である: ラカンと女たちの反哲学」(2020)立木康介著,河出書房新社.
▷ 「狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛―愛と享楽について精神分析が知っている二、三のことがら」(2016)立木康介著,水声社.
▷ 「露出せよ、と現代文明は言う」(2013)立木康介著,河出書房新社.
▷ 「精神分析と現実界―フロイト/ラカンの根本問題」(2007)立木康介著,人文書院.

第6回
▷ 「意識性の臨床科学としての精神分析―ポスト・クライン派の視座」(2020)平井正三著,金剛出版.
▷ 「児童養護施設の子どもへの精神分析的心理療法」(2018)平井正三・西村理晃編,誠信書房.
▷ 「自閉症スペクトラムの臨床―大人と子どもへの精神分析的アプローチ」(2016)平井正三・世良洋監訳,岩崎学術出版社.
▷ 「新訂増補 子どもの精神分析的心理療法の経験―タビストック・クリニックの訓練」(2015)平井正三著,金剛出版.

本セミナーのお申し込みの受付は終了いたしました。多数のお申し込み誠にありがとうございました。