2021年度より3年間で精神分析の基礎理論、その技法を概観することを目的として、『精神分析臨床セミナー:基礎理論を学ぶ』を開講しました。昨年度は改めて『精神分析臨床セミナー:基礎理論を学ぶ』(Ⅱ-ⅰ)を開講し、本年度は継続講義の2年目となります。ただし、本年度からの参加者にも十分に配慮した講義を行う予定です。
本年度は、初年度で学んだフロイト、クライン、アンナ・フロイトからの展開としての精神分析の理論に関して学びます。ここでは、英国、米国の精神分析理論の発展を学び、さらに日本、フランスの精神分析についての知見を深めるというバランスを保った構成になっています。講師の皆さんは、各領域に関する専門家ですので、参加者が理解できるように専門知識を咀嚼した内容にする力量があります。1回目はビオン、メルツァー、その後の英国の現代の精神分析理論についてです。2回目は米国の自己心理学、英国の中間学派の理論と実践です。3回目はクラインとほとんど同時代のことですが、対象関係論の基盤を築いたフェァバーン、ウィニコットに関するものです。4回目は自我心理学、関係理論の理論と実践です。5回目は日本の精神分析、フランスのラカン派の精神分析理論です。最終回の6回目は、研究だけでなく臨床にも重要な概念である愛着と自閉スペクトラム症を中心とした発達障害の理論を学びます。
次年度は、精神分析の臨床実践について講じる予定です。精神分析的アセスメント、転移、逆転移など技法に関わる概念を論じる予定です。昨年度から継続の参加者だけでなく、本年度からの参加も可能です。是非とも、3年間で精神分析の理論を総括的に理解して頂くことを目的としていますので、多くの聴衆を期待しています。
会場はTKP市ヶ谷ですが、オンラインでも参加可能です。オンラインでのご参加でも、その講義の臨場感をお伝えできるように尽力していますので、ご安心ください。
共催:こども・思春期精神分析研究会/こども・思春期メンタルクリニック 木部則雄
本セミナーは、臨床心理士資格の更新に必要なポイント申請を行っています。また、日本精神分析学会の認定研修グループに認定されています。
※セミナーに4回以上参加された参加者に修了証明書を発行いたします。
日程 | 講義1(10時〜12時) | 講義2(13時〜15時) | 講義3(15時15分〜17時15分) |
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第1回 4月13日 | ビオンの理論 講師:福本修 | メルツァーの人生と理論 講師:木部則雄 | 現代の英国の精神分析 講師:福本修 |
第2回 6月15日 | 自己心理学・間主観性 講師:森さち子 | 英国中間学派の基礎 講師:奥寺崇 | 英国中間学派の実践 講師:奥寺崇 |
第3回 8月17日 | フェアバーン、ガントリップの人生と理論 講師:平島奈津子 司会:木部則雄 | ウィニコットの人生と理論 講師:深津千賀子 | ウィニコットの症例 講師:木部則雄 |
第4回 10月12日 | 自我心理学の基礎・実践 講師:関谷秀子 | 関係理論の基礎 講師:吾妻壮 | 関係理論の実践 講師:吾妻壮 |
第5回 12月14日 | フランスの精神分析の基礎 (ラカン派を中心に) 講師:立木康介 司会:福本修 | フランスの精神分析の実践 (ラカン派を中心に) 講師:立木康介 司会:福本修 | 日本の精神分析的理論 (阿闍世コンプレックスなど) 講師:高野晶 司会:木部則雄 |
第6回 2月8日 | 愛着 講師:木部則雄 | タスティンの人生と理論 講師:木部則雄 | 大人の発達障害 講師:福本修 |
吾妻 壮 (上智大学総合人間科学部教授/個人開業)
▷ 資格:国際精神分析協会正会員・日本精神分析協会会員・訓練分析家、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー、精神科専門医、臨床心理士、公認心理師
▷ 経歴:東京大学文学部卒業、大阪大学医学部卒業。 米国アルバート・アインシュタイン医科大学、コロンピア大学精神分析センター、ウイリアム・アランソン・ホワイト研究所留学。帰国後、大阪大学精神医学教室、神戸女学院大学を経て現職。
▷ 主な著書・論文:『実践詳解精神分析16講』(上巻、下巻)(岩崎学術出版社)、『精神分析の諸相―多様性の臨床に向かって』(金剛出版)、『精神分析的アプローチの理解と実践―アセスメントから介入の技術まで』(岩崎学術出版社)、『精神分析における関係性理論』(誠信書房)、『連続講義精神分析家の生涯と理論』(共著、岩崎学術出版社)、『臨床場面での自己開示と倫理―関係精神分析の展開』(共著、岩崎学術出版社)、『関係精神分析入門』(共著、岩崎学術出版社)、『物語と治療としての精神分析』(監訳、金剛出版)、『関係するこころ』(共訳、誠信書房)、『開かれた心』(共訳、里文社)、『乳児研究から大人の精神療法へ―間主観性さまざま』(共訳、岩崎学術出版社)など
奥寺崇(クリニックおくでら)
▷ 資格:精神科指定医、精神科専門医・同指導医、精神分析家(IPA、JPS)
▷ 経歴:群馬大学医学部卒業。同附属病院、佐久総合病院勤務後に群馬大学医学部教官の傍らメニンガー精神医学校、タヴィストッククリニック成人部門および精神分析研究所に留学。 帰国後赤城高原ホスピタル、国立精神神経センター武蔵病院(この間群馬大学医学非常勤講師併任)を経て、2008年よりクリニックおくでらを開設し現在に至る。
▷ 主な著書・論文:『オンラインというleap、あるいはdistant psychoanalysisの未来』(『コロナと精神分析臨床』木立の文庫)、『精神分析療法の意義』(『精神分析と文化』岩崎学術出版社)、『内なるトラウマ』(精神分析研究)『エナクトメントについて』(精神分析的精神医学)、『プレゼントモーメント—精神療法と日常生活における現在の瞬間』(監訳、岩崎学術出版社)、『クライン派用語辞典』(共同監訳、誠信書房)、『精神力動的精神医学 第5版』(共同監訳、岩崎学術出版社)など
木部 則雄 (白百合女子大学文学部教授/こども・思春期メンタルクリニック)
▷ 資格:精神科指定医、精神科専門医、臨床心理士
▷ 経歴:京都府立医科大学卒業。聖路加国際病院小児科、三枚橋病院の勤務後にタヴィストッククリニック児童家庭部門に留学。帰国後、NTT東日本健康管理センター勤務後に、2001年白百合女子大学発達心理学専攻、2014年こども・思春期メンタルクリニックの開設に至る。
▷ 主な著書・論文:『セミナー 子どもの精神分析的心理療法―こころのケアに生かす理論と実践』(編著、岩崎学術出版社)『こどもの精神分析―クライン派・対象関係論からのアプローチ-』(岩崎学術出版社)、『こどもの精神分析Ⅱ―クライン派による現代のこどもへのアプローチ-』(岩崎学術出版社)、『こころの発達と精神分析―現代藝術・社会を読み解く-』(金剛出版)、『基礎講義 アタッチメント』(企画・監修、岩崎学術出版社)、『クラインとウィニコット-臨床パラダイムの比較と対話‐』(監訳、岩崎学術出版社)など
関谷 秀子 (法政大学現代福祉学部教授/初台クリニック)
▷ 資格:精神保健指定医、臨床心理士、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本児童青年精神医学会認定医、日本精神分析学会認定精神療法医スーパーバイザー
▷ 経歴:東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大医学部学精神神経科学教室入局。横浜市立市民病院、碧水会長谷川病院を経て関東中央病院精神科勤務。前関東中央病院精神科部長。
▷ 主な著書・論文:『思春期に心が折れた時親がすべきこと』(中公新書ラクレ)
髙野 晶 (北参道こころの診療所)
▷ 資格:精神科専門医、臨床心理士、日本精神分析学会認定精神分析的精神療法医・スーパーバイザー、日本精神分析協会精神分析的精神療法家
▷ 経歴:京都府立医科大学卒業。東京大学附属病院心療内科、公立昭和病院心療内科、東京国際大学人間社会学部・大学院臨床心理学科教授、心の杜・新宿クリニックを経て現職。
▷ おもな著書・論文:『週1回精神分析的サイコセラピー:実践から考える』(編著、遠見書房)、『精神療法の饗宴』(共著、誠信書房)、『精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論』(共著、福村出版)、『週1回サイコセラピー序説-精神分析からの贈り物』(編著、創元社)、など
立木 康介 (京都大学人文科学研究所教授)
▷ 資格:パリ第8大学精神分析学博士
▷ 経歴:京都大学文学部卒業、同大学大学院教育学研究科修了(臨床教育学)。パリ第8大学精神分析学科に留学(1994-1998)。フランスのラカン派分析家組織École de la Cause freudienneにて個人分析(1996-)。同組織CPCT(精神分析相談・治療センター)にて研修(2006-2007)。2009年より豊中市のクリニックに勤務。
▷ 主な著書:『女は不死である』(河出書房新社)、『狂気の愛、狂女への愛、狂気のなかの愛』(水声社)、『露出せよ、と現代文明は言う』(河出書房新社)、『精神分析と現実界』(人文書院)、『精神分析の名著』(編著、中公新書)、『100分で名著 フロイト 夢判断』(NHK出版)、『極限の思想 ラカン』(講談社選書メチエ Le Livre)など
平島 奈津子(オフィス朔代表)
▷ 資格:医学博士、公認心理師、日本専門医機構認定精神科専門医・指導医、精神保健指定医、日本医師会認定産業医、日本精神分析的精神医学会認定精神療法医・指導医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー、日本性差医学・医療学会認定医、日本サイコオンコロジー学会認定登録精神腫瘍医、日本女性心身医学会認定医
▷ 経歴:東京医科大学卒。慶應義塾大学精神・神経科学教室で初期研修を受け、同教室助手、昭和大学医学部精神医学教室准教授などを経て、2013年~2024年、国際医療福祉大学三田病院精神科病院教授。2024年4月、オフィス朔(精神療法オフィス)を開業。現在に至る。
▷ 主な著書・論文:『〈効果的な〉精神科面接―力動的に診るということ』(金剛出版)、『不安のありか―‘私’を理解するための精神分析のエッセンス』(日本評論社)、『治療者のための女性のうつ病ガイドブック』(編集・分担執筆、金剛出版)など
深津千賀子(大妻女子大学名誉教授/千駄ヶ谷心理センター)
▷ 資格:臨床心理士、日本精神分析学会認定心理療法士・スーパーバイザー
▷ 経歴:1963年横浜国立大学心理学科卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科副手、助手、2000年中京大学心理学部・心理学研究科教授。2006年大妻女子大学人間関係学部・臨床心理学専攻教授、2013年国際医療福祉大学心理学研究科特任教授を経て、現在に至る。なお、千駄ヶ谷心理センターは慶大医学部在籍中の1988年に許可を得て、心理臨床の現場として共同開設したもの。
▷ 主な著書・論文:『心の臨床家のための精神医学ハンドブック』(共編著、創元社)、『ウィニコットにおける治療構造論』(「治療構造論」、岩崎学術出版)、『ロールシャッハ・テストと境界例』(福島章編「境界例の精神療法」、金剛出版)、『児童虐待・育児困難の母親』(福島章・町沢静夫・大野裕編「人格障害」、金剛出版)、『分裂病質人格障害の精神分析的心理療法』(臨床心理学大系19 「人格障害の心理療法」、金子書房)、『子育てに困難をきたしている母親の精神療法』(「精神療法」Vol.18, No.6)、『母性再考―育児困難・児童虐待の母親の精神療法から』(精神分析研究Vol.47, NO.1)、『母子関係からみた阿闍世コンプレックス』(精神分析研究Vol.48, No.4)など
福本 修 (代官山心理・分析オフィス/恵泉女学園大学名誉教授)
▷ 資格:精神科専門医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー、国際精神分析協会正会員・日本精神分析協会訓練分析家
▷ 経歴:東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部付属病院分院、静岡大学保健管理センター助教授を経て、タヴィストック・クリニック留学、同成人精神分析的精神療法課程修了。2000年から恵泉女学園大学人文学部教授。
▷ 主な著書・論文:『精神分析/精神科・小児科臨床セミナー総論』(共著、福村出版)、『連続講義 精神分析家の生涯と理論』(共著、岩崎学術出版社)、『精神分析の現場へ―フロイト・クライン・ビオンにおける対象と自己の経験』(誠信書房)、『現代クライン派精神分析の臨床―その基礎と展開の探究』(金剛出版)、『現代フロイト読本』(共著、みすず書房)、『精神分析的心理療法におけるコンサルテーション面接』(監訳、金剛出版)、『クライン派用語事典』(監訳、誠信書房)、『フロイトを読む―年代順に紐解くフロイト著作』(監訳、岩崎学術出版社)、『現代クライン派入門―基本概念の臨床的理解』(共監訳、岩崎学術出版社)、『現代クライン派の展開』(誠信書房)、『クリニカル・クライン』(共訳、誠信書房)、『長い週末』(監訳、福村出版)、『わが罪を唱えさせよ』(監訳、福村出版)ほか
森 さち子 (慶應義塾大学総合政策学部教授/同大学医学部精神・神経科学教室兼担教授/慶應義塾女子高等学校校長/サイコセラピー・プロセス研究所副所長)
▷ 資格:臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士・スーパーバイザー
▷ 経歴:慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業。同大学大学院修士(社会学研究科)、博士(学術)取得。同大学湘南藤沢キャンパス心身ウェルネスセンターカウンセラー、医学部精神・神経科学教室助手、同大学総合政策学部准教授を経て現職。2008年に仲間とサイコセラピー・プロセス研究所を開設、現在に至る。
▷ 主な著書・論文:『新版 症例でたどる子どもの心理療法-情緒的通いあいを求めて-』(金剛出版)、『間主観性の軌跡』(共著、岩崎学術出版社)、『かかわり合いの心理臨床-体験することと言葉にすることの精神分析-』(誠信書房)、『改訂版 精神分析とユング心理学』(共著、放送大学振興会)、『子どもの心理臨床シリーズ(絵本 全9巻)』(翻訳、誠信書房)、『関わることのリスク-間主観性の臨床-』(翻訳監修、誠信書房)、『患者の心を誰が見るのか』(編著、岩崎学術出版社)など